引越しと敷金の返還トラブル
物件をきれいなまま使用していたり、故意につけた傷がない場合、本来であれば返されるはずの敷金が返還されずに貸し主と借り主との間でトラブルになることがあります。
これは敷金の使用方法が実に曖昧で、「預り金」であるはずの敷金で物件の修理をする貸し主がいるからです。
物件の原状回復のために敷金使用されたということで、返還を拒否するのです。
そこで2017年に民法が改正され、「敷金や原状回復の定義」がはっきり決められ2020年に施行される予定です。
敷金の定義は「いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」と定められました。
これはちょっと、ややこしくてわかりにくい表現ですよね。
詳しく言いますと、一部の地域で使用されている「保証金」なども、家賃滞納の対策として先に集金されたお金なのであれば「敷金」ですよということです。名前を隠れ蓑にできないということですね。
また原状回復についても「借主が部屋を適法に引き渡したとき、貸主(大家)は敷金を返還しなければならない。」と定められ、また「原状回復費の負担割合」がも詳しく決められました。
・入居者(借り主)負担:部屋を借りた後に生じた損傷の部分(普段の生活で生じた傷や汚れは除く)
・大家(貸主)負担:経年劣化、通常損耗の部分
もし借り主になにか負担を課す場合には、貸し主は賃貸借契約で「特約」としてあらかじめ明確にして、相手に説明をして、承諾も得ておかなければなりません。
借り主は特約がある場合はしっかり目を通しておきましょう。
ただし消費者契約法によって、借り主が一方的に不利となる特約は無効となります。